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2013年8月25日日曜日

沖縄空手から学ぶこと①

沖縄首里にある本部道場で稽古をしている時に

照屋先生が、稽古の前後や稽古中に

門下生に船越義珍先生の空手20箇条を

引用されて、空手を習ううえでの

教訓や戒めとして

話されることがありました。


船越先生は1868年、沖縄県首里でご生誕され

沖縄にて学校の教員として教鞭をとられながら

首里手の大家、糸洲安恒先生、安里安恒先生に

空手を師事されていました。

1922年に文部省第一回体育ならびに古武道展覧会出席のため

上京し公開演武され、以後滞京され早大や慶大等で空手師範を歴任。

先生の教えを受けた流派は松濤館流として現在も

日本の4大空手として日本だけでなく世界中に広がっています。

船越先生は、松濤館だけでなく日本空手の祖として

現在でも多くの尊敬を集めています。
(参考:空手道教本 船越義珍著)


船越先生が空手を修るものとして

心に常に持ち続けておくようにと記されたのが

空手二十箇条です。


「空手二十箇条」
  1. 空手道は礼に始まり礼に終る事を忘るな
  2. 空手に先手なし
  3. 空手は義の補(たす)け
  4. 先づ自己を知れ而して他を知れ
  5. 技術より心術
  6. 心は放(はな)たん事を要す
  7. 禍(わざわい)は懈怠(かいたい)に生ず
  8. 道場のみの空手と思ふな
  9. 空手の修業は一生である
  10. 凡ゆるものを空手化せよ其処に妙味あり
  11. 空手は湯の如し絶えず熱度を与えざれば元の水に還(かえ)る
  12. 勝つ考は持つな負けぬ考は必要
  13. 敵に因って轉化せよ
  14. 戦は虚実の操縦如何に在り
  15. 人の手足を剣と思へ
  16. 男子門を出づれば百万の敵あり
  17. 構は初心者に後は自然体
  18. 形は正しく実戦は別物
  19. 力の強弱体の伸縮技の緩急を忘るな
  20. 常に思念工夫せよ

この二十カ条の中で特に照屋先生がよく話され、

とても大切で重要な言葉が並ぶなか、

自分にとって現在の所、強く心に残っているのが以下の3つです。


十一条「空手は湯の如し、絶えず熱度を与えざれば元の水に還る」

十二条「勝つ考は持つな負けぬ考は必要」

十七条「形は正しく実践は別物」


自分の中で、この三つの考え方というのは、

空手だけでなく人生を正しく生きる上でも

とても大切な意味を持っています。


それは、今当たり前のように自分が持っていると感じるものでも

それは一瞬でなくなる可能性があるという事を理解し、

常に疑問を持ちながら、

それをより素晴らしいものに、

より強固なものにしていくための努力を

惜しまないこと、


また勝利だけに意識が集中すると

全てにおいて勝ちたいと思うようになり

必要のない勝ちまで求めてしまう気がします。

それは生きていく上では

例えば、人よりもっと成功したい!いい車に乗りたい!とか・・・。

それはそれで重要なことですが、

しかしその前に一歩引いて考え

社会一般の常識や他者からの評価を抜きにして

自分にとって「勝つこと」と「負けること」とは

いったい何を意味するのか?を考え、

「勝つことよりも」

「絶対に負けてはならないものは自分にとって何か?」を

もう一度問い直し、

そして絶対に「負けない」ためには、

自分はどうすればいいのかを考えること。


また、先駆者の残した技術や知を

しっかりとしかも正しく学ぶことは大切だが、

学ぶことだけで満足してはいけない。

学んだ知は、正しく使われることを強く要求しており

しかもそれを実践するときには

学んだことを一度全て忘れて、

その実践の場に合った体の動きや知の使い方を

その瞬間、瞬間に、判断し、臨機応変に

使用していくこと。


若輩者の自分が偉そうなことは言えませんが、

インターネットの急速な普及や

格差の広がり等による社会不安の増加によって

不確定な要素が多すぎて体や精神がグラグラする時があります。

そんな時には、何か揺るがない柱のようなものを

先人たちが創意工夫し作り出し、残っている技術や知の体系を

自分の中に一本持って、それを目印にしながら、

新しい自分だけの道を切り開く必要があると思います。

空手は、とくにどんな相手にも「受ける」ことから始める

沖縄の伝統空手の精神は

今も空手の様々な動作や型の中に生きています。

そしてその精神が今一度、評価されるべきのような気がします。


慣れない固い言葉で長々と書きましたが

言いたいのは一言です。

「空手」を続けてきてよかったし

続けることが出来て幸せです。

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